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2018年3月4日3:42(約597日前)

契約書に印紙は必要?割印・製本など契約書作成でありがちな疑問を徹底解説!

契約書

契約は何をもって成立するのか?

保証契約や下請法が適用されるケースなど契約書の作成が法律で義務づけられている場合もありますが、基本的には申込みと承諾の意思表示が合致したタイミングが契約成立のタイミングであって、書面でも口頭でも良いとされています。
民法の解釈でいえば、契約自由の原則にしたがって、公序良俗に違反しない限り契約内容も契約相手もその契約を締結するかどうかも自由になされる必要があるためです。

ではなぜ契約書を交わすべきなのか?

契約書の最大の目的はトラブルが発生した場合に解決するための判断基準をあらかじめ準備しておくことです。
口約束や簡素な契約書では、契約内容が不明確という問題もありますが、いざトラブルが発生した場合に信頼性に足る判断基準がありません。
仮に裁判になった場合は、法的に契約書作成が義務づけられていたケースを除いて、契約書以外の書類(納品書や注文書、請負契約書など)や関係者の証言から真実を導き出すことになります。しかし契約段階で決まっていたかどうか細部まで証明するのは難しく、虚言も真実として立証されてしまうような状況になります。
万が一そのような状況になってしまった場合、または悪意を持って意図的にそのようなトラブルに持ち込まれてしまった場合の防衛手段として、契約書の作成は有効です。
一方で取引の迅速性を考えれば口頭が良い場面も考えれられます。言い換えれば、契約書を作成するかどうかの判断基準は、そのようなもめごとが起こる可能性と契約金額や権利義務関係の大きさで決めれば良いということになります。

契約書の作成前に何を確認すべきなのか?

契約書の作成前に明確にしておくべきことは以下です。
特に契約自体の有効性はしっかり確認しておかなければ、後で契約が無効になってしまったり、取り消されてしまう恐れがあります。有効要件、契約内容をしっかり確認しましょう。

  • 契約の目的・趣旨・対象
  • 契約の履行期
  • 契約書の形式はどうするか(双方が納得する形式にする)
  • 契約自体の有効性

契約自体の有効性のチェックとは?

契約の有効性をチェックする際は大きく分けて2つのチェックポイントがあります。契約当事者に関する有効要件のチェックと契約内容に関する有効要件のチェックです。
ちなみに、以下にあげるものはあらゆる契約に共通するチェックポイントです。そのため契約によっては個別に確認すべき要件がある場合もあります。例えば先にあげた下請け法が適用されるケースでの契約書(書面)の交付義務や支払期日を定める義務、書類の作成・保存義務、遅延利息の支払義務などです。
なお、以下で取消しと無効という用語を使いますが、法的には、取消しは契約自体はあったが、遡って取り消す無効は契約自体が最初からなかったものとみなすという違いがあります。

契約当事者に関する有効要件

意思能力

法的には、行為の結果を弁識するに足りるだけの精神能力と定義されており、概ね7〜10歳程度以上の能力とされています。意思能力がない者の法律行為は無効とされてしまうため、後で契約当初に意思能力を欠いていたとされた場合は、法律上、契約自体なかったものとされてしまいます。

行為能力

法的には、単独で完全な法律行為を行うことができるとされている資格とされています。例えば法人格のない団体は、行為能力がありません。また判断能力が未熟とされる制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)もそれぞれ民法で行為能力に制限がかけられています。
制限行為能力者との契約は後に取消しの対象となりますので、一定の場合に制限行為能力者の側から一方的に取消しが可能となってしまいます。
そのため制限行為能力者でないことを証明するための「登記されていないことの証明」といった書類を用意することが必要な契約もあります。

意思の欠缺

表意者が真意でないことを知りながらした意思表示(心裡留保)は一定の場合、無効になります。例えば、友人同士で「1兆円あげるよ(笑)」のような冗談を言い合っていた場合、どうせ貰えないだろうというのはお互いの空気感でわかるわけですが、このようなケースは「真意でないことを知りながらした意思表示」となります。
表意者が契約の相手方と通じてした虚偽の意思表示(虚偽表示)は一定の場合、無効になります。例えば、オークションで金額をつり上げるために入札する、いわゆるサクラなどです。
法律行為の要素について真意と異なることを表意者自身が知らずにした場合の意思表示(錯誤)は一定の場合、無効になります。いわゆる勘違いが錯誤にあたります。ただし明らかに過失があると思われるような勘違いなど(悪意有過失)は除きます。

意思表示の瑕疵

詐欺(人を欺き錯誤に陥れる行為)や強迫(他人に害意を示し、恐怖を生じさせる行為)による契約(法律行為)は一定の場合、取消しの対象となります。

代理権・代表権

原則として、有効な代理権・代表権が認められない場合>は、法律行為の効果が本人(契約当事者)に帰属しません。例えば本人が頼んだわけでもないのに勝手に本人に代わってされたような契約です。

契約内容に関する有効要件

適法性

法律の中で、公の秩序に関する規定を強行規定といいますが、強行規定に違反する契約は無効となります。例えば民法における「時効の利益」などです。時効の利益は強行規定のため、契約でも時効をなくすことはできません。
一方で公の秩序に関しない規定を任意規定と呼び、任意規定の場合は仮に法律にあった場合でも、契約の方が優先されます。例えば金銭消費貸借契約において分割返済の規定で、仮に借主が返済を怠った場合でも何も取り決めがなければ、「期限の利益」によって貸主は一括返済を求めることができませんが、契約の内容に返済を怠った場合の一括返済が可能な旨を盛り込めば規定よりも契約内容が優先されます。

社会的妥当性

信義則違反、権利乱用、公序良俗違反などにあたるような内容の契約は無効です。例えば、不倫契約や愛人契約、違法薬物の売買契約などです。

実現可能性

契約締結時に既に実現不可能な内容は無効です。例えば、破壊、紛失等で既にこの世に存在しない物の売買契約などです。

契約書の形式にはどんなものがあるのか?

契約書の形式は1.私文書である基本形式の契約書、2.公文書である公正証書による契約書、3.電子契約の3種類があります。以下でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.基本形式の契約書(私文書)

法律上、契約書の形式に決まりや制限はありません。しかしそもそも契約書は万が一のトラブルに備えて用意するもので、契約書そのものが偽造されたものでなく双方の契約合意を証明するに足りる信頼性の高いものでなければいけません。それを証明するためのより良い方法が一般的な形式の契約書には詰まっています。そのため一般的な形式に則ることが信頼性の高い契約書の作成につながります。
信頼性の高い一般的な契約書を作成するためには以下のようなポイントに留意する必要があります。

  • 契約当事者が署名又は記名・押印する
  • 複数ページの契約書はホチキス止めまたは袋とじにして、契約書の一体性を証明するために契印する(図1
  • 各契約当事者が1通づつ保有するため、契約当事者の数だけ作成する(1名が原本でその他はコピーでも可)
  • 契約書を複数通作成した場合は、それぞれの契約書間で割印して、各契約書の同一性を証明する(図2
  • 契約書に印紙を貼付(課税文書の場合)し、流用防止のために消印をする(図3

なお課税文書にあたる場合に契約書に印紙の張付・消印がない場合は、過怠税を徴収されてしまう場合があります。ただしその場合でも印紙税法上の問題であり、契約書が無効とみなされるわけではありません。

契印の押し方(図1)

ホチキス止めの場合

契約当事者全員が、両ページにまたがるように全見開きページに押印します。

袋とじの場合

契約当事者全員が、別紙と契約書の境目に押印します。

割印の押し方(図2)

契約書を複数通作成した場合

契約当事者全員が、作成通分の契約書にまたがるように押印します。

消印の押し方(図3)

印紙税法上の課税文書にあたる場合

契約当事者全員が、印紙と契約書にまたがるように押印します。

2.公正証書による契約書(公文書)

公正証書とは、法務局が管理する公証役場において、公証人が作成する公文書であり、高い証明力があります。また、一定額の金銭の支払いを目的とする契約の場合「債務者が債務を履行しない時は、直ちに強制執行を受けても異義のない事を承諾する」という文言(強制執行認諾文言)を入れることで、債務者が金銭の支払いを怠った場合に裁判所の判決を待たずに直ちに強制執行手続に移ることができます。
デメリットとしては、私文書に比べて契約書作成の手間がかかるのと、政令により定められた公証人手数料(全国一律)が別途必要になります。具体的な費用はGyobotに「法律行為に関する証書作成の手数料は?」と質問することで確認できます。
また任意後見契約など、そもそも公正証書による契約書の作成が法律で義務づけられているものもあります。
契約書を公正証書にする場合は以下の手順で行います。

  1. 契約当事者が契約書の原案を作成
  2. 原案を元に公証人と打ち合わせ
  3. 公証人が契約書を作成
  4. 契約当事者全員で公証役場に出向き、公証役場で内容確認・署名捺印

委任状があれば、以上の手続きを行政書士が代理人として行うことも可能です。

3.電子契約

電子契約は電子ファイルをインターネットや専用回線を経由して取り交わすことで合意する契約形態です。合意成立の証拠として、電子署名やタイムスタンプを電子ファイルに付加します。
電子契約では印刷・製本・郵送・保管のコストが削減できるのはもちろんですが、印紙税が不要というメリットもあります。
2015年にe-文書法の要件緩和が行われ、法的・技術的な環境の整備によって近年ますます注目されており、各企業から電子契約サービスがリリースされています。
おおまかな電子契約までの手順と仕組みは以下になります。

  1. 電子署名を施した契約書を作成し、サーバーへ登録
  2. 相手方が契約書がサーバーへ登録された旨の通知を受け取り、内容を確認して電子署名を施す
  3. 時刻認証局によりタイムスタンプが付与され、サーバー内に保管される
  4. 契約当事者全員が電子署名済み契約書をダウンロードする
  書面による契約(紙の契約書) 電子契約
成立の証明 契約当事者全員による署名・記名押印 契約当事者全員による電子署名・タイムスタンプ
受け渡し方法 持参または郵送 インターネット・専用回線経由
保管方法 現物を保管する サーバー内で電子データを保管
印紙税 必要 不要

まとめ

以上が基本的な契約書に関する説明になります。
契約の相手方は、あなたに有利なように契約書をかいてくれるということはまずないと思ってください。そのため基本的に契約書は先出しした方が有利です。
まずは自分の業務などよく使う契約書の雛形を持っておくことが重要です。自己に有利な条項を含む証明力の高い契約書があれば、紛争が生じた場合に有力な証拠となります。そのため仮に紛争が生じたとしても早期に紛争解決ができます。

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