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2017年10月27日0:24(約2584日前)

相続って行政書士に頼めるの?行政書士に相続・成年後見を依頼するメリットとは?!

相続・成年後見

相続・成年後見分野で行政書士ができること

人は誰でも高齢になれば心身が衰えていき、やがて死を迎えます。
日本人の高齢化に伴って、ますます需要が見込まれる相続・成年後見分野ですが、この分野では弁護士、司法書士、税理士など多様な専門家がご活躍されています。
そのような中で行政書士には専門家としてどのようなことを依頼でき、また依頼することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
依頼者の心身の状況に応じたケース別にご紹介します。

判断能力はあるが、現時点で財産管理や身上看護の支援がほしい

財産管理等委任契約書の作成

記憶力の低下など精神上の障がいはなくても身体上の障がいがある場合など、判断能力が低下する前に何らかの理由で自己の財産の管理を一部または全部代理してもらいたい場合にする契約を財産管理等委任契約と呼びます。
この財産管理等委任契約を第三者と締結する場合の書類作成とそのためのコンサルティングを行政書士に依頼できるのはもちろんですが、行政書士本人とこの契約を締結することも可能です。
ただし財産管理等委任契約は公的な機関が契約を委託された側(受任者)を監督する仕組みがないため、代理権を委託する本人(委任者)と代理権を委託された者(受任者)に加えて別途監督人を自ら選任して三者で契約するのが望ましいです。
また後述する任意後見契約では任意後見監督人が選任された時から効力が発生するとされているため、財産管理等委任契約から任意後見契約に自動的に移行できるように財産管理等委任契約と任意後見契約をセットで締結しておけば安心です。

見守り契約書の作成

後述する任意後見契約の実効性を高めるために、依頼する側(委任者)に定期的に連絡を取ることで意思疎通を図り、依頼する側(受任者)の安否や生活の状況・心身の状態等を把握することを目的とした契約を見守り契約といいます。
任意後見契約の効力が必要なときに発生するように、依頼される側(受任者)が契約で定められた特定の日に依頼する側(委任者)のところを訪問したり、電話による連絡を行ったりします。そのため、この契約も任意後見契約と一緒に締結されます。
この契約も書類作成・コンサルティングもしくは行政書士本人と契約締結のどちらも可能です。

判断能力の低下に備えて、財産管理や身上看護の支援体制を確保したい

任意後見契約書の作成

記憶力の低下など精神上の障がいが発生し、事理を弁識する能力が不十分な状況において自己の生活、療養看護及び財産の管理を一部または全部代理してもらいたい場合にする契約を任意後見契約と呼びます。
任意後見契約も第三者と締結する場合の書類作成とそのためのコンサルティング、行政書士本人と契約締結のどちらも可能です。
任意後見契約が財産管理等委任契約と大きく異なる点は以下の2点です。

  • 必ず法務省例で定める公正証書によって作成する
  • 家庭裁判所が任意後見監督人を選任する

本人が事理を弁識できない状態で行われる代理のための契約であるため、より厳格に契約に誤りがないか公証人がチェックする公正証書を持って締結することと、監督人が選任されることが契約の効力発生の絶対条件となっています。そのため本人が元気なうちに信頼できる保護者を選定して締結する契約となります。

死後の身辺整理や葬儀等の手配に備えたい

死後事務委任契約書の作成

ご自身の死後、葬儀や埋葬などについて代理して遂行してもらうための契約です。
原則として委任契約は依頼者(委任者)の死亡によって終了します。そのため裏を返せば死後事務委任契約はご自身の死亡後も財産管理等委任契約や任意後見契約を終了させないための契約といえます。
死後事務委任契約も書類作成とそのためのコンサルティングに加えて、行政書士本人とこの契約を締結することも可能です。ただし注意しなければならないのは、葬儀・埋葬の費用は依頼者(委任社)自ら負担しなければならない点です。
つまり依頼者(委任社)の死後も代理人が死後事務委任契約を遂行するだけの依頼者(委任社)財産が残っている想定でなければこの契約を締結することができません。
お金も身寄りもない場合は事前に役所に相談に行くなど対策しておく必要があります。

死後の財産の引き継ぎに備えたい

遺言書の作成

遺言は、法律の定める方式に従わなければ法的な効力を生じません。民法の方式を遵守した有効な遺言書を作成し、残されたご家族に揉め事の種を残さないためにも行政書士に遺言書の作成を依頼することは有効です。
民法に定められた遺言の方式は以下です。

普通方式

  • 自筆証書遺言(民法968条)
  • 公正証書遺言(民法969条)
  • 秘密証書遺言(民法970条)

特別方式

  • 死亡危急遺言(民法976条)
  • 一般隔絶地遺言(民法977条)
  • 船舶隔絶地遺言(民法9778条)
  • 船舶遭難遺言(民法979条)

この中でも自筆証書遺言と公正証書遺言は多く利用されています。
自筆証書遺言はお金がかからない代わりに作成する上でのルールが多く無効になってしまうリスクがあります。反面、公正証書遺言は作成にお金がかかる、証人を必要とするなどの手間はありますが、無効になる心配がなくお勧めの方式です。
遺言に法的効力が与えられるのは、財産や身分に関する事項のみです。そのため「○○してほしい」などの感情を遺言に書いても法的効力は生じません
遺言書の作成は開封に関するルールや、遺産分割とも絡んで法定相続分など考慮すべき重要事項が多数あるため別記事で別途詳しくその内容をご紹介します。

セットでの契約締結も可能

ここまでご紹介した契約は個別にではなくセットで締結することも可能です。もし老後にご家族のサポートが期待できない等の状況であれば、元気なうちに信頼できる第三者や行政書士などの専門家を見つけてセットで契約を締結しておくことをお勧めします。

遺言を残さずに被相続人が死亡してしまった場合

遺産分割協議書の作成

被相続人が唐突に亡くなってしまった場合など誰にどの財産を分割していくかが明確ではない場合は、遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成することで当事者の合意の下で遺産を分割していく必要があります。
また、遺産分割協議書は共同相続人全員でなされなければ無効となってしまいます。行政書士は戸籍をさかのぼって法定相続人を探し出す相続人調査も可能なため、遺産分割協議終了後に新たな相続人が現れて協議が無効になるなどのリスクを防止することができます。
ただし、遺産分割協議が難航し、親族間の争いが想定される場合は最初から弁護士へ依頼するようにしてください。行政書士は争いの恐れのある事案には介入することができません。
遺産分割も注意事項が多数あるため別の記事で詳細をご紹介します。

まとめ

行政書士に相続・成年後見を依頼するメリット

ここまでご紹介させていただいた通り、相続時だけでなく生前から死後までトータルにサポートできることがあります。
死の前後にある複雑な手続きの交通整理を専門家に頼れることで、老後を安心感を持って過ごせることが行政書士に相続・成年後見を依頼する最大のメリットといえます。

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